音楽を仕事に出来るか

音楽をこよなく愛する人は、四六時中その音楽に浸っていたいものです。音楽をただ聴くだけではなく、音楽を「作る」ということを続けている人は、「ずっと音楽を作って生きていきたい」と、「音楽だけで生活したい」と考えることもあるでしょう。

「音楽を仕事にする」ということは、簡単なようでいて難しいものです。ただ楽器が演奏できるだけではいけないのです。ただ作曲ができるだけでもいけないのです。音楽を作って対価を得るためには、その音楽に対して金銭を支払ってくれる「誰か」が必要です。

アーティストのような活動を通じて金銭を得たい場合は、その活動を支えてくれる「ファン」が必要になるということです。音楽を聴いてくれる人、それも「対価を支払って」聴いてくれる人が大勢いなければいけないのです。そのように表舞台に立つような活動ではなく、ただ自分の曲を、自分のアレンジを世の中に提供したいという場合でも、それを聴いてくれる人がいなければいけないのです。そこに「対価」を支払う人がいなければいけないのです。

現在では、音楽にお金を投じて「聴く」という人が少なくなっているような傾向があります。人が音楽にお金を投じるときには、少なからず「聴きたい」とか「興味がある」という気持ちが働いているものです。ですが、近年ではインターネットの動画サイトなどでどのような音楽でも検索すれば聴けてしまうのです。もちろん、音質は劣化していますし、市販されているCDよりも音はよくありません。それでも、「どのような音楽が知りたかった」というニーズには十分応えるものではあります。

検索すればわかる、聴けてしまえるという状況が、近年叫ばれている「音楽不況」に拍車をかけているようです。私たちはいつの間にか音楽に対してお金をかけることを控えてしまっているのです。そのような状況ですから、「音楽で稼ぐ」ということはなかなか難しいものではあります。ですが、「音楽の需要」はただその音楽だけを販売する部分だけではないのではないでしょうか。例えばテレビドラマに使用されている音楽や、ゲームに使用されている音楽など、さまざまなメディア、さまざまな媒体で音楽が使われています。それは「音楽が主役」ではないのかもしれませんが、「そこには音楽が必要」ということなのです。そのように考えると、音楽で対価を得る方法はひとつではないと思えます。音楽を仕事にするということは、「自分の好きな音楽が作り続けられる」ということではありません。需要のあるところで自分の感性とスキルを活かした音楽を提供し、そして対価を得ることも「音楽で稼ぐこと」です。

楽器に卓越していれば、その演奏が必要なシーンも多々あるかもしれません。「プレーヤー」として生きていくことだって、大いに可能なわけです。音楽での稼ぎ方はさまざまな可能性がありますが、やはり「特殊なスキル」ですから、だれでも出来るというわけではありません。その「ニーズ」に自分は応えることが出来るのかどうか、その需要に対しての自分自身の価値を考えて、「売り込んでみる」ということが必要なのではないでしょうか。音楽だけで生きていきたい気持ちはわかります。それをどうやって実現するのかが、大切なのです。

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